リリー|解説
enomotoyoru
夜を歌う
とある砂漠の国で、私は占い師をしていた。
蛇の女神を信仰している、小さな街だった。
ある日、女神は「ここを出る」と秘密のお告げをした。
私にだけ分かる言語で、確かにこう言った。
数人の信徒と彼女、そして私の奇妙な列は真夜中に動き出した。
遠い、一等星の元へ。
東の国を目指して、街を捨てたのだ。
彼女は言う。
「黄金よりも高価であるかなんて、ワタシには意味の無いこと。それよりもアナタのその瞳、気に入ったわ。連れて行ってやろう」
女神の信仰によって授かった紋章が人間に見られるのは珍しいのだとか。
女神の背を追って、信徒の道を作り、私は進む。
全ては美しき女神、彼女の為に。
やがて誰も知らぬ土地へ、私たちは姿を消した。